中世(500年〜1500年)
ユーラシア各地の王朝とイスラームの成立、海と陸の交易網、そして大陸をまたぐ航海が始まるまで。
この区間について
500年から1500年までを扱います。収録は260件で、確定192件、およそ65件、諸説あり3件と、古代より年が特定できる項目が増えます。地域の内訳は日本61件、ヨーロッパ58件、東アジア43件、西アジア・中東34件、アフリカ28件、南アジア・東南アジア17件、南北アメリカ12件、オセアニア6件、世界規模1件です。「中世」という呼び方はヨーロッパ史の時代区分に由来し、他の地域にそのまま当てはまるものではありません。年表では時間の区切りとして使っています。
イスラームの成立と西アジア
610年のイスラームの成立と622年のヒジュラに続き、正統カリフ時代、ウマイヤ朝(661年〜750年)、アッバース朝(750年〜)が収録されています。762年のバグダードの建設、830年ごろの知恵の館、820年ごろのフワーリズミーの数学書、1025年ごろのイブン・シーナー『医学典範』が、この地域の学問に関わる項目です。1258年にバグダードが陥落し、1299年からはオスマン帝国が続きます。
東アジアと南アジア・東南アジア
東アジアでは隋(581年〜618年)、唐(618年〜907年)、宋(960年〜1279年)、元(1271年〜1368年)、明(1368年〜1644年)が並びます。755年からの安史の乱、1069年の王安石の新法、1405年から1433年の鄭和の南海遠征などを収録しています。南アジア・東南アジアではシュリーヴィジャヤ(670年〜1288年)、アンコール朝(802年〜1431年)、デリー・スルターン朝(1206年〜1526年)、マジャパヒト王国、アユタヤ朝が続きます。
ヨーロッパ
800年のカール大帝の戴冠、843年のヴェルダン条約、962年からの神聖ローマ帝国、1066年のノルマン・コンクェストが前半の主な項目です。1096年から1099年の第1回十字軍、1077年のカノッサの屈辱、1215年のマグナ・カルタの承認、1265年のイングランド議会の起源、1088年のボローニャ大学の成立が続きます。1347年から1351年のペストの大流行、1337年から1453年の百年戦争は、この区間の後半に位置します。
アフリカ・アメリカ・オセアニア
アフリカでは700年から1200年のガーナ王国とサハラ縦断交易、909年からのファーティマ朝、1000年から1500年のスワヒリ海岸の交易都市、1100年から1450年の大ジンバブエ、1230年からのマリ王国、1464年からのソンガイ王国を収録しています。アメリカ大陸では500年から900年のティワナク、900年からのマヤ低地の都市の放棄、1428年のアステカ三国同盟、1438年からのインカ帝国の拡大期が並びます。オセアニアでは900年から1300年の東ポリネシアへの拡散、1250年ごろのニュージーランド到達が収録されています。
交易と技術
751年のタラス河畔の戦いの後に製紙法が西へ伝わり、1206年から1368年のモンゴル帝国期にはユーラシアの交易網が結ばれました。1271年から1295年のマルコ・ポーロの旅行、1325年から1354年のイブン・バットゥータの旅行は、この時期の移動の記録です。技術では1040年ごろの膠泥活字、1119年の羅針盤の航海利用の記録、1450年ごろのグーテンベルクの活版印刷術を収録しています。
区切りについて
1500年の前後には、1453年のコンスタンティノープルの陥落、1488年のディアスの喜望峰到達、1492年のグラナダの陥落とコロンブスの大西洋横断航海、1498年のヴァスコ・ダ・ガマのカリカット到達が集まっています。年表ではここを次の区間との境にしていますが、これは表示上の区切りで、出来事の意味づけを示すものではありません。日本ではこの区間に藤原氏の摂関政治、1086年の院政の開始、鎌倉新仏教の広まり、南北朝の内乱、室町幕府、1467年からの戦国大名の分立を収録しています。
主な出来事(23件)
年表に収録した中から、表示の優先度が高い項目を抜き出しています。出来事名を押すと、年表のその位置が開きます。
| 年代 | 地域 | 出来事 |
|---|---|---|
| 581年〜618年 | 東アジア | 隋 南北朝を統一し、律令・科挙・大運河を整えた。 |
| 610年 | 西アジア・中東 | イスラームの成立 ムハンマドによる布教の開始。622年のヒジュラがイスラーム暦の紀元となる。 |
| 618年〜907年 | 東アジア | 唐 長安を都とし、ユーラシア東西の交易が拡大した。 |
| 622年 | 西アジア・中東 | ヒジュラ(メディナへの移住) イスラーム暦の紀元とされる。 |
| 661年〜750年 | 西アジア・中東 | ウマイヤ朝 ダマスクスを都とし、世襲のカリフ位が確立した。 |
| 750年 | 西アジア・中東 | アッバース朝の成立 後にバグダードが建設された。 |
| 755年〜763年 | 東アジア | 安史の乱 唐の節度使による大規模な反乱。 |
| 960年〜1279年 | 東アジア | 宋 火薬・羅針盤・印刷術の実用化が進んだ時期にあたる。 |
| 962年〜1806年 | ヨーロッパ | 神聖ローマ帝国 オットー1世の戴冠に始まる。ドイツを中心に諸邦が並立する緩やかな連合体として続いた。 |
| 1066年 | ヨーロッパ | ノルマン・コンクェスト イングランドの支配層と言語に大きな変化が生じた。 |
| 1096年〜1099年 | ヨーロッパ | 第1回十字軍 イェルサレムを占領し、占領時に住民の大規模な殺害があった。以後13世紀まで断続的に遠征が行われた。 |
| 1206年 | 東アジア | モンゴル帝国の成立 テムジンがチンギス・ハンとして即位。 |
| 1271年〜1368年 | 東アジア | 元 モンゴル帝国の東方部が中国全土を統治した。 |
| 1299年〜1922年 | 西アジア・中東 | オスマン帝国 建国年は伝承的で1300年前後とされる。アナトリア西部の小勢力から、三大陸にまたがる帝国となった。 |
| 1337年〜1453年 | ヨーロッパ | 百年戦争 イングランドとフランスが断続的に戦った。 |
| 1347年〜1351年 | ヨーロッパ | ペストの大流行(黒死病) ユーラシア西部で人口が大幅に減少した。 |
| 1368年〜1644年 | 東アジア | 明 15世紀前半に鄭和の艦隊がインド洋へ派遣された。 |
| 1405年〜1433年 | 東アジア | 鄭和の南海遠征 大型船団が七次にわたりインド洋・東アフリカへ航海した。 |
| 1450年 | ヨーロッパ | グーテンベルクの活版印刷術 金属活字と印刷機による量産技術。 |
| 1453年 | ヨーロッパ | コンスタンティノープルの陥落 オスマン帝国による占領。東ローマ帝国が滅亡した。 |
| 1492年 | ヨーロッパ | グラナダの陥落 イベリア半島のイスラーム政権が終わり、レコンキスタが完了した。 |
| 1492年 | 南北アメリカ | コロンブスの大西洋横断航海 以後、大陸間の人・作物・病原体の移動が本格化した。 |
| 1498年 | 南アジア・東南アジア | ヴァスコ・ダ・ガマのカリカット到達 ヨーロッパとインドを結ぶ海路が開かれた。 |
世界人口の推計(百万人)
1950年以前は研究者によって推計に幅があります。下限のみが示されている年もあります。
| 年 | 推計(百万人) |
|---|---|
| 500年 | 190〜206 |
| 600年 | 200〜206 |
| 700年 | 207〜210 |
| 800年 | 220〜224 |
| 900年 | 226〜240 |
| 1000年 | 254〜345 |
| 1100年 | 301〜320 |
| 1200年 | 360〜450 |
| 1250年 | 400〜416 |
| 1300年 | 360〜432 |
| 1340年 | 443(下限のみ) |
| 1400年 | 350〜374 |