東アジア
中国・朝鮮半島・モンゴル高原を中心とする行です。統一王朝の交替、土地と税の制度、遊牧民との関係、19世紀以降の条約と革命を扱います。
この行について
中国の王朝の交替を軸に、朝鮮半島とモンゴル高原の出来事を含めた行です。日本は年表の最下段に別の行を設けているため、この行には入れていません。長江流域における稲作の開始(前8000年ごろ)から香港の返還(1997年)までを収録しています。中世から近世にかけて、この行とヨーロッパの行の両方に同じ出来事が現れることがあります。たとえばモンゴル帝国の成立はこの行、その交易網は世界規模の行に置いています。
王朝と思想の始まり
仰韶文化(前5000年ごろ)のあと、殷(商)、周、春秋時代、戦国時代と続きます。孔子の生誕(前551年ごろ)はこの区間の項目です。秦による中国の統一(前221年)で広い範囲が一つの政体に入り、漢がそれを引き継ぎました。前漢・武帝の治世には張騫の西域派遣(前139年)と儒学の官学化(前136年ごろ)があり、司馬遷『史記』が編まれます。同じ時期、モンゴル高原では匈奴が勢力を持ちました。
分裂と再統一、制度の形
後漢のあと三国の分立、五胡十六国時代と分裂が続き、北魏が均田制(485年)を始めます。隋が中国を再統一し(589年)、大運河を建設しました。唐は均田制・租庸調制を整え、玄奘のインド旅行(629年)や玄宗の治世が置かれます。タラス河畔の戦い(751年)はイスラーム勢力との接触、安史の乱(755年)は体制の転換点で、以後は両税法(780年)に移りました。この区間は、土地と税をどう把握するかという問題が繰り返し現れます。
宋・元・明
五代十国を経て宋が成立し、膠泥活字の考案、王安石の新法、羅針盤の航海利用の記録が続きます。靖康の変で南宋となり、モンゴル帝国の成立(1206年)、元、南宋の滅亡(1279年)と移りました。明(1368年)の時期には朝鮮王朝の成立(1392年)、鄭和の南海遠征(1405年から)、朝鮮での訓民正音の公布(1446年)があります。海に向かう動きと、内陸へ向かう動きが交互に現れる区間です。
清と対外関係の管理
一条鞭法の普及(16世紀後半)のあと、後金の建国から清が成立し、明の滅亡と清の北京入城(1644年)で王朝が替わりました。康熙帝の治世に領域が広がり、貿易港を広州一港に限る措置(1757年)がとられます。対外関係を限られた窓口で管理する仕組みは、19世紀にヨーロッパ側の要求と衝突することになります。
19世紀の条約体制
アヘン戦争(1839年)とアロー戦争(1856年)を経て、条約による開港と居住が広がりました。内側では太平天国(1851年)が起こり、洋務運動(1861年から)が始まります。日清戦争(1894年)、義和団事件(1900年)、日露戦争(1904年)と続き、韓国併合(1910年)、辛亥革命と中華民国の成立(1911年)で清朝が終わりました。
20世紀以降
満洲事変(1931年)、日中戦争(1937年)、太平洋戦争(1941年)を経て、中華人民共和国の成立(1949年)、朝鮮戦争(1950年)が置かれます。大躍進政策下の飢饉(1959年から)、文化大革命(1966年から)、ニクソンの中国訪問(1972年)、改革開放(1978年から)、天安門事件(1989年)、香港の返還(1997年)が続きます。
収録の内訳
政治・国家62件が全体の半分を占め、戦争・紛争26件がこれに続きます。王朝の交替と統治の仕組みが軸になる行です。経済・交易15件には、均田制・両税法・一条鞭法のように、土地と税をどう把握するかという制度の項目が含まれます。文化・芸術5件、宗教・思想6件、科学・技術6件は他の行に比べて少なめです。先史の項目がないのは、この行の最も古い項目が前8000年ごろの稲作の開始であることによります。
年代の確かさ
確定107件に対しておよそ14件、諸説ありは0件で、年代の精度が最も高い行です。中国の歴代王朝が年単位の記録を残してきたことによります。個別の出典を付けた項目は11件と少なくなっていますが、これは主な典拠である教材で年代が確認できるためで、根拠が弱いことを意味しません。
この行を読むときに
中国の王朝名は、同じ名の王朝が時期を隔てて現れることがあります。年表では、必要に応じて補足で区別しています。また、朝鮮半島とモンゴル高原の項目は中国の王朝史に比べて少なくなっていますが、これは収録の都合によるもので、重みの差を示すものではありません。日本は最下段の別の行にあるため、日清戦争や韓国併合のように複数の地域に関わる出来事は、どちらか一方の行に置いています。
時代別の内訳
この行の主な出来事(24件/収録は121件)
ここに出しているのは主な項目です。補足・背景・帰結・出典を付けた全件の一覧は、時代別のページにあります:古代/中世/近世・近代/現代
| 年代 | 出来事 |
|---|---|
| 前8000年 | 長江流域における稲作の開始 上山・彭頭山などの遺跡で栽培化の痕跡が確認される。 |
| 前1600年〜前1046年 | 殷(商) 現存する中国最古の体系的文字資料を伴う。 |
| 前1046年〜前256年 | 周 封建的な統治と青銅器・礼制が整えられた。 |
| 前551年 | 孔子の生誕 魯の出身。後に儒家の祖とされた。 |
| 前221年 | 秦による中国の統一 度量衡・文字・貨幣の統一が行われた。 |
| 前202年〜220年 | 漢 郡県制と儒学の官学化が進んだ。新の時期を挟む。 |
| 581年〜618年 | 隋 南北朝を統一し、律令・科挙・大運河を整えた。 |
| 618年〜907年 | 唐 長安を都とし、ユーラシア東西の交易が拡大した。 |
| 755年〜763年 | 安史の乱 唐の節度使による大規模な反乱。 |
| 960年〜1279年 | 宋 火薬・羅針盤・印刷術の実用化が進んだ時期にあたる。 |
| 1206年 | モンゴル帝国の成立 テムジンがチンギス・ハンとして即位。 |
| 1271年〜1368年 | 元 モンゴル帝国の東方部が中国全土を統治した。 |
| 1368年〜1644年 | 明 15世紀前半に鄭和の艦隊がインド洋へ派遣された。 |
| 1405年〜1433年 | 鄭和の南海遠征 大型船団が七次にわたりインド洋・東アフリカへ航海した。 |
| 1636年〜1912年 | 清 満洲族の王朝。18世紀に領域が最大となった。 |
| 1839年〜1842年 | アヘン戦争 南京条約により香港島の割譲と開港が定められた。 |
| 1851年〜1864年 | 太平天国 キリスト教の影響を受けた宗教結社が南京を占領し、14年間存続した。 |
| 1894年〜1895年 | 日清戦争 下関条約で台湾の割譲と朝鮮の独立が定められた。 |
| 1904年〜1905年 | 日露戦争 ポーツマス条約で講和した。 |
| 1911年〜1912年 | 辛亥革命と中華民国の成立 清が滅び、東アジアで最初の共和国が成立した。 |
| 1937年〜1945年 | 日中戦争 盧溝橋事件を機に全面的な戦争となった。 |
| 1941年〜1945年 | 太平洋戦争 日本と連合国が太平洋・東南アジアで戦った。 |
| 1949年 | 中華人民共和国の成立 同年、中華民国政府は台湾へ移った。 |
| 1950年〜1953年 | 朝鮮戦争 北朝鮮軍が北緯38度線を越えて南進し、国連軍と中国人民志願軍が介入した。休戦協定で分断が固定された。 |