南アジア・東南アジア
インド亜大陸と東南アジアを一つにまとめた行です。宗教の成立、インド洋の交易、ヨーロッパ勢力の進出、20世紀の独立を扱います。
この行について
インド亜大陸と東南アジアを一つの行にまとめています。二つの地域は季節風を使う海路で古くから結ばれ、宗教・文字・交易品が行き来してきたため、同じ行で並べると関係が見やすくなります。トバ火山の巨大噴火(約7万4000年前)から、スマトラ島沖地震とインド洋津波(2004年)までを収録しています。
古代の南アジア
インダス文明の都市期(前2600年ごろ)のあと、アーリヤ語派集団のインド北西部への移動とヴェーダの成立が置かれます。ゴータマ・シッダールタの生誕(前563年ごろ)と仏教教団の成立が続き、マウリヤ朝、とくにアショーカ王の治世(前268年ごろから)に仏教が広い範囲に伝わりました。季節風を利用したインド洋交易(前100年ごろ)、クシャーナ朝、ガンダーラ美術、グプタ朝と続きます。年代に「およそ」が多く付くのは、同時代の記録が限られているためです。
海域の王権
ブラフマグプタによるゼロの演算規則(628年)はこの区間の項目です。東南アジアでは、シュリーヴィジャヤ(7世紀後半)、ボロブドゥールの造営、アンコール朝(802年)、アンコール・ワットの造営が続き、南インドのチョーラ朝は海上遠征(1025年)を行いました。北インドではデリー・スルターン朝(1206年)が成立します。その後マジャパヒト王国、アユタヤ朝、マラッカ王国が海峡と河川の要地を押さえました。
ヨーロッパ勢力の到来
ヴァスコ・ダ・ガマのカリカット到達(1498年)に続き、ポルトガルによるマラッカ占領(1511年)、ムガル帝国の成立(1526年)、アクバルの治世、スペインによるフィリピン統治の開始(1565年)、マニラのガレオン貿易(1571年から)が置かれます。イギリス東インド会社(1600年)とオランダ東インド会社(1602年)の設立は、会社という形態が交易と統治を兼ねていく起点です。ムガル帝国ではアウラングゼーブの治世が続きました。
植民地統治
プラッシーの戦い(1757年)とベンガルの徴税権取得(1765年)を経て、イギリス東インド会社が徴税と裁判に関わるようになります。インド大反乱(1857年)のあとムガル帝国が滅び、イギリスの直接統治、次にインド帝国の成立(1877年)となりました。インド国民会議の結成(1885年)、フランス領インドシナ連邦の成立(1887年)、フィリピンのアメリカ統治の開始(1898年)が続きます。
独立と現代
塩の行進(1930年)、インドネシア独立宣言(1945年)、インドとパキスタンの分離独立(1947年)と進みました。ジュネーヴ休戦協定(1954年)、ベトナム戦争(1960年代から)、東南アジア諸国連合の結成(1967年)、カンボジアにおける大量殺害(1975年から)が続きます。独立の形も時期も国ごとに異なり、年表では同じ横軸の上に並べて示しています。
収録の内訳
政治・国家38件が中心で、宗教・思想7件にはヴェーダの成立と仏教の成立が入ります。経済・交易8件は、季節風を利用したインド洋交易からマラッカ、ガレオン貿易まで、海路の項目が中心です。時代別では近世・近代22件が最も多く、ヨーロッパ勢力の進出と植民地統治の項目がここに集まります。
年代の確かさ
確定44件に対し、およそ21件・諸説あり4件と、3分の1以上に幅があります。古代から中世にかけて、王朝の開始年が史料によって異なることが主な理由です。個別の出典を付けた項目は21件で、年代に争いのある項目には必ず出典を添えています。
この行を読むときに
南アジアと東南アジアをまとめたため、インドの王朝史と東南アジアの海域史が同じ行に混ざっています。時期が近い項目は、地名で見分けてください。この地域の古代については、王朝の始まりの年が史料によって数十年ずれることがあり、年表では「およそ」を付けた項目が多くなっています。また、現在の国境は20世紀に引かれたものが多く、それ以前の王朝や王国の範囲は、いまの国名とは重なりません。
時代別の内訳
この行の主な出来事(13件/収録は69件)
ここに出しているのは主な項目です。補足・背景・帰結・出典を付けた全件の一覧は、時代別のページにあります:先史/古代/中世/近世・近代/現代
| 年代 | 出来事 |
|---|---|
| 前74000年 | トバ火山の巨大噴火 スマトラ島。人類集団への影響の大きさには議論がある。 |
| 前2600年〜前1900年 | インダス文明の都市期 モヘンジョダロ、ハラッパーなどの都市が営まれた。 |
| 前1500年 | アーリヤ語派集団のインド北西部への移動 段階的な移動とされ、年代には幅がある。 |
| 前1500年〜前1000年 | ヴェーダの成立 口承で伝えられた祭式文献群。 |
| 前563年 | ゴータマ・シッダールタの生誕 生没年には複数の説がある(前563年説・前463年説など)。 |
| 前321年〜前185年 | マウリヤ朝 南端を除くインド亜大陸の大半を統合した最初の王朝。 |
| 320年〜550年 | グプタ朝 数学・文学が発達し、十進法の記数法が整えられた。 |
| 1498年 | ヴァスコ・ダ・ガマのカリカット到達 ヨーロッパとインドを結ぶ海路が開かれた。 |
| 1526年〜1858年 | ムガル帝国の成立と存続 北インドを中心に統治機構が整備された。 |
| 1571年〜1815年 | マニラのガレオン貿易 アメリカ大陸の銀とアジアの絹・陶磁器が太平洋を越えて交換された。 |
| 1757年 | プラッシーの戦い イギリス東インド会社軍がベンガル太守・フランス連合軍を破った。 |
| 1857年〜1859年 | インド大反乱 東インド会社軍のインド人兵士の蜂起に各地の勢力が加わった。 |
| 1960年〜1975年 | ベトナム戦争 アメリカが本格的に介入し、1973年に撤退、1975年に南北が統一された。開始年は、南ベトナム解放民族戦線の結成(1960年)、ジュネーヴ協定後の分断(1955年)、トンキン湾事件(1964年)のいずれを起点とするかで諸説がある。 |