世界歴史年表

西アジア・中東

メソポタミア・アナトリア・イラン・アラビア半島・東地中海を扱う行です。農耕と都市の始まり、続く帝国、イスラームの成立、現代の中東を収録しています。

年表でこの行を見る

この行について

メソポタミア、アナトリア、イラン高原、アラビア半島、東地中海沿岸を扱う行です。エジプトは地理の区分にあわせてアフリカの行に置いているため、古代オリエントの出来事は二つの行に分かれて現れます。ドマニシ遺跡(現在のジョージア)の人類化石(約180万年前)から、アラブの春(2010年)までを収録しています。

農耕と都市の始まり

先史の区間にはドマニシ遺跡の人類化石が置かれ、そのあとに長い空白がはさまります。前1万2000年から前9000年ごろ、肥沃な三日月地帯で農耕と牧畜が始まり、イェリコの定住集落(前1万500年ごろ)、チャタル・ヒュユクの集落(前7400年ごろ)が続きます。ウバイド期の灌漑農耕、銅の冶金の開始、車輪の使用、馬の家畜化と、生産と移動の技術が重なりました。楔形文字の成立(前3300年ごろ、シュメール)は、この年表で最初の「文字による記録」にあたる項目で、以後の年代の確かさが変わる節目です。シュメールの都市国家群がこれに続きます。

続く帝国

アッカドのサルゴンによるメソポタミア統一(前2334年ごろ)、バビロン第1王朝、ハンムラビ法典の成文化(前1750年ごろ)と進みます。東地中海における青銅器時代の諸王国の崩壊(前1200年ごろ)のあと、フェニキア人の地中海交易、鉄器の普及、イスラエル王国、新アッシリア帝国、リディアの鋳造貨幣、バビロン捕囚(前586年)が並びます。ゾロアスター教の成立とアケメネス朝ペルシア(前550年ごろ)、アレクサンドロス3世の東方遠征(前334年)とヘレニズム諸王国の分立、ナザレのイエスの処刑(30年ごろ)、ササン朝ペルシア(224年)と続きます。

イスラームの成立とカリフ

イスラームの成立(610年ごろ)とヒジュラ(622年)のあと、正統カリフ時代にササン朝が滅びました(651年)。ウマイヤ朝、次にアッバース朝(750年)が成立し、バグダードの建設(762年)、製紙法の西伝(751年ごろ)、フワーリズミーの数学書(820年ごろ)、知恵の館(830年ごろ)、イブン・シーナー『医学典範』(1025年)が並びます。書物と学問が集まる場が政治の中心に置かれた区間です。

トルコ系王朝と十字軍

セルジューク朝(1037年)、マラーズギルドの戦い(1071年)、ヒッティーンの戦い(1187年)は、ヨーロッパの行にある十字軍の項目と対応します。バグダードの陥落(1258年)でアッバース朝が終わり、オスマン帝国(1299年)とティムール朝(1370年)が現れました。

オスマン帝国とサファヴィー朝

サファヴィー朝(1501年)、オスマン帝国によるマムルーク朝征服(1517年)、スレイマン1世の治世(1520年から)が続きます。19世紀にはタンジマート(1839年から)、20世紀初めには青年トルコ革命(1908年)が置かれ、第一次世界大戦中のオスマン帝国におけるアルメニア人の強制移送と殺害(1915年)を収録しています。

現代の中東

イスラエルの建国と第1次中東戦争(1948年)、スエズ戦争(1956年)、第3次中東戦争(1967年)、第1次石油危機と第4次中東戦争(1973年)、イラン革命とソ連のアフガニスタン侵攻(1979年)、湾岸戦争(1991年)、イラク戦争(2003年)、アラブの春(2010年)が並びます。年表では事実の記述にとどめ、評価を加えないようにしています。

収録の内訳

古代36件と中世34件で全体の7割を占めます。近世・近代10件と少ないのは、オスマン帝国とサファヴィー朝の内政に関わる項目を絞っているためで、重要度の判断ではありません。分類では政治・国家45件、戦争・紛争22件が多く、宗教・思想7件にはゾロアスター教とイスラームの成立、科学・技術6件には冶金・車輪・製紙法の西伝と、数学・医学の著作が入ります。

年代の確かさ

およそ36件・諸説あり6件で、4割以上の項目に幅があります。前3000年より前の項目が多いことと、古代オリエントの王朝の年代に複数の説があることによります。個別の出典を付けた項目は25件です。

この行を読むときに

この行では、同じ地域に別の名の政体が次々に現れます。年表は王朝名を見出しにしているため、地名で追うと連続が見えやすくなります。また、エジプトをアフリカの行に置いているため、古代オリエントの出来事は二つの行に分かれます。現代の項目については、当事者の間で評価が大きく分かれるものが含まれます。年表では、起きたことと年代の記述にとどめ、原因や責任についての判断を加えていません。

時代別の内訳

この行の主な出来事(19件/収録は95件)

ここに出しているのは主な項目です。補足・背景・帰結・出典を付けた全件の一覧は、時代別のページにあります:先史/古代/中世/近世・近代/現代

年代出来事
前12000年〜前9000年農耕・牧畜の開始(肥沃な三日月地帯)
ムギ類の栽培化とヤギ・ヒツジの家畜化が進行。
前10500年イェリコの定住集落
ヨルダン川西岸。前10500年頃から定住が始まり、前8000年頃には石壁と塔を伴う集落となった。
前7400年〜前6000年チャタル・ヒュユクの集落
アナトリア。密集した住居と壁画を伴う大規模集落。
前5500年〜前3800年ウバイド期の灌漑農耕
メソポタミア南部で運河による農地開発が進んだ。
前3300年楔形文字の成立(シュメール)
ウルクなどの都市で記録用の文字体系が成立。
前2334年アッカドのサルゴンによるメソポタミア統一
記録に残る最初期の広域国家。
前550年〜前330年アケメネス朝ペルシア
西アジアからエジプト・インダスに及ぶ広域を統治した。
前334年〜前323年アレクサンドロス3世の東方遠征
マケドニアからインダス川流域に至る軍事行動。
30年ナザレのイエスの処刑
年代は30年頃または33年頃とされ、確定していない。
610年イスラームの成立
ムハンマドによる布教の開始。622年のヒジュラがイスラーム暦の紀元となる。
622年ヒジュラ(メディナへの移住)
イスラーム暦の紀元とされる。
661年〜750年ウマイヤ朝
ダマスクスを都とし、世襲のカリフ位が確立した。
750年アッバース朝の成立
後にバグダードが建設された。
1299年〜1922年オスマン帝国
建国年は伝承的で1300年前後とされる。アナトリア西部の小勢力から、三大陸にまたがる帝国となった。
1501年〜1736年サファヴィー朝
シーア派を国家の宗教と定め、現在のイランの枠組みの基礎となった。
1948年イスラエルの建国と第1次中東戦争
建国宣言の翌日に周辺諸国との戦争が始まり、70万人前後のパレスチナ人が居住地を離れた。退去の経緯については、軍事行動による強制退去とみる立場と、戦闘からの避難とみる立場があり、論争が続いている。
1973年第1次石油危機
原油価格が急騰し、各国が省エネルギーと代替エネルギーへ転換した。
1979年イラン革命
王政が倒れ、イスラーム法にもとづく共和制が成立した。
2010年〜2012年アラブの春
チュニジアに始まる抗議行動が、エジプト・リビアなど北アフリカを含む各国に広がり、複数の政権が交代した。